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コンプレックス・エイジ
とある飛空士への追憶
◇コミックブレイド
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◇総括系
巻数単位で選ぶ、2015年漫画10選

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プリティーリズム
◇総括系
話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選
話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選
2015年夏アニメ(感想/作品別)
アニメマイベストエピソード(フリーテーマ)
アニメマイベストエピソード(テーマ:上)

3.音楽
◇坂本真綾
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◇キャラソン
お気に入りキャラクターソング10選

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◇堀江敏幸
熊の敷石
ゼラニウム
北村薫『1950年のバックトス』
日本霊異記
図書館の魔女

5.その他
2015年冬コミ宣伝
ひとりぼっちの地球侵略ブログ大会の感想
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未来へむかって
2019 / 09 / 20 ( Fri ) 19:21:47
『未来へむかって』(アニメ『放課後のプレアデス』オリジナル運命線SS)

    1

「すばる、さっきからカバンの中を気にしてるけど、どうしたんだ?」
「え!? な、なんでもないよ」
 朝のHRまでの時間、あおいちゃんがわたしの顔を覗き込んできた。わたしは慌てて膝の上のカバンを閉じ、机の横に掛けた。ぽすっと慌てた拍子に筆箱までいっしょに落としてしまった。
「まったく、何やってるんだ」
 あおいちゃんは筆箱を拾い上げ、ぽんぽんと埃をはたいて机の上に戻してくれた。それから、もっと顔を近づけ、声をひそめた。
「忘れ物か?」
「あ! 英語の教科書忘れてきたかも」
「しょうがないなあ……後で見せてやるよ」
 そう言って頭を撫でられてほんのすこしくすぐったい。
「うん、ありがとう!」
 べ、別にこのくらい……とあおいちゃんは少し恥ずかしそうにして、
「で、ほんとどうしたんだ?」
と真面目な顔をした。ううん、なんでもないよと答えると、何かあったらいつでも言えよと席に戻っていった。すこしさみしそうな横顔に心の中でごめんねと謝るしかなかった。
「ねえ、あおいちゃん」
「どうした?」
「今日、いっしょに帰らない?」
「今日って部活なかった?」
「ううん。ふたりで帰りたいの」
 あおいちゃんは嬉しそうな困ったような、くるくると表情を変えながら、
「わかった」
と戸惑いがちに答えた。
「わたし、今日は天文部にも寄るから終わったら展望室に来てね」
「ああ」
「絶対だからね! 待ってるよ」
 うなずくあおいちゃんは今度は嬉しそうな顔をしてくれていた。

   2

「あおいちゃん、そんなに近づけなくてもいいよ」
「でもすばるが見にくいだろ」
 英語の授業前、あおいちゃんが机をくっつけてきて、わたしの机にぽんと英語の教科書を置いてきた。教科書をあおいちゃんの方に戻そうとするとその手を抑えられてしまう。
「あおいちゃんだって見にくくなるでしょ」
「良いよ、そんなの」
 こういう時のあおいちゃんはほんとに強情だ。わたしはあおいちゃんの迷惑にはなりたくないのに。
「良くないよ」
「私はそんなに見えなくても困らないよ」
 どうしてそんなことばかり言うんだろう。むっとして思わず出た言葉はあんまりにもひどい言葉だった。
「あおいちゃんこの間の小テスト、わたしより点数悪かったじゃん」
「なっ! あれはたまたま……じゃなくて今は関係ないだろ……おい、やめろよ」
 わたしが言い返すよりも先にひかるちゃんが教科書をさっと取り上げた。
「ふたりとも、教室で何をいちゃついているのかにゃあ?」
「いちゃついてなんかない!」
 あおいちゃんの言葉にわたしもこくこくうなずく。
「まあまあ。あおいちんもさ、すばるからしてみれば借りてる方じゃん。そんな風にされたら肩身せまいよ」
「そうよ。せっかく仲良く机をくっつけてるんだから、真ん中に置いたらいいじゃない」
「いつきの言う通りだよ。いっそ今から急いで隣のクラスから教科書借りてこようか?」
 ひかるちゃんの言葉にあおいちゃんは不機嫌な顔で、
「いいよ、わかったよ」
とひかるちゃんのから教科書を奪い返して机の真ん中に置いた。それからわたし達はひとことも話さなかった。授業が終わってお礼を言おうとしても、あおいちゃんは避けるようにすぐ教室から消えていった。

   3

「もうお腹ぺこぺこだよ」
 ひかるちゃんはいちばんにお弁当箱の包みを開けて早く食べたそうにわたし達を待っている。いつきちゃんとななこちゃんは弁当を見せあって何を交換しようかと話し合っている。わたしも急いでお弁当を取り出した。いただきますと声を揃えて、わたしは買ってきたいちご牛乳にストローを差した。
「珍しい」
 ななこちゃんがじっとわたしを見た。
「すばるちゃんがお昼ごはんにいちご牛乳を飲んでいるところ初めて見たわ」
「……うん。ちょっと気分転換」
 卵焼きを口に運んで、いちご牛乳をひと口飲んだ。出汁の甘さといちごの甘さが思っていたよりもおいしい。
「それってお弁当に合うの?」
「うん! 今度からお昼にも買おうかな」
 ひかるちゃんは納得したようなしてないような表情をして、サンドイッチに手を付けた。ななこちゃんはいつきちゃんからから揚げをもらって食べている。いつきちゃんはウィンナーをどこからか取り出した小皿に取って会長さんに渡した。会長さんはひと口に飲み込むと、もっとというようにいつきちゃんのお重を覗き込んだ。
「会長は食い意地張りすぎじゃない? しかも、いっつんのばっかり狙ってさ。……あおいちんもさっきから全然食べてないけど、そんなんじゃ会長に全部食べられちゃうよ」
 みんながあおいちゃんの方を見ると、ほとんど手を付けていないままだった。あおいちゃんは何も答えずあいまいに笑うばかりだった。
「あおいちゃん、お昼休み終わっちゃうわよ。たくさんあるから私のお弁当食べる?」
「いや、いい」
「それなら僕が食べてあげようか」
「会長は黙ってて」
 ななこちゃんはお重から会長さんを引き離し、膝の上の置いた。会長さんは少し文句を言いながらも、ななこちゃんにがっしりと掴まれて、すぐにおとなしくなった。わたしも何か言おうと思っても、もやもやとした気分のまま、うまく言葉にならない。
「ねえ、今日あたり流星予報来るかしら?」
「そういや最近ぜんぜん来ないよね。ま、のんびりできて楽じゃん」
 話題を変えるように、いつきちゃんが言って、ひかるちゃんはサンドイッチをもぐもぐしながら応えた。
「わたし、今日は予定があるのに。もし来ちゃったらどうしよう」
「何の予定?」
「うん、たいしたことないんだけど……」
 あおいちゃんといっしょに帰る約束をしているのとは言えず、ちょっぴり自分が嫌になる。みんなは特に気にする風でもなく、
「じゃあ、四人でやるしかないわね」
「角マントが来なきゃいいけど」
「勝負は時の運」
 と口々に言ってくれた。あおいちゃんだけはやっぱり何も言わないままで、途中でお弁当を片付け始めた。
「私、お腹いっぱいだから少し出てる」
 みんなが引き留める前にあおいちゃんは教室から出ていった。みんなは英語の時間のことには触れずにわたしのことも心配してくれたけれど、大丈夫だよとしか答えられなかった。あおいちゃんはそのまま授業ぎりぎりまで戻ってこなくて、部活の時間もわたしが先に部室を出るまでほとんど黙ったままで、わたしとはひと言も話せなかった。

   4

 月に一度はやると決めた展望室の掃除も終わると、もう五時を回っていた。夏はそろそろ終わりのこの季節だと空はまだ明るくて、展望デッキに出ると部活動の熱気がここまで届いてくる。
 だけど、セミの鳴き声も、照りつける日差しも、ひとりだとちょっぴり寂しくさえ思えた。みんなでボールを追いかけているサッカー部の人達が、仲間からの声援を受けて必死に走る陸上部の人達が、みんなと楽しそうにしている人達が羨ましかった。わたしも、いつか誰かといっしょにここから流星雨を見られるといいな。来月には秋のペルセウス座 ε 流星群がきっと綺麗だから。もしそれを誰かと見られたら素敵なのに。でも、今日は、わたしはいちばんいっしょに見たい人と……
「あおいちゃんだって、悪いもん」
 考えれば考えるほど悲しくなって、座り込んで空を眺めた。みんなはどうしているんだろう。流星予報が出たなら、ここからでも見えるはずだから、楽しくみんなでおしゃべりしているのかな。夕暮れになったら帰ろうと決めて、ぐるぐるする頭を壁に預けた。

 結局、あおいちゃんは来なかった。
 ひどいこと言っちゃったもん。きっとそのせいなんだ。何であんなことで意地を張ってしまったんだろうか。
「いちご牛乳、買って帰ろ」
 おサイフから小銭を取り出して、展望室を出た。
「ごめん、待たせた」
 展望室の外には階段に座り込んだあおいちゃんがいた。すこししんどそうに立ち上がる仕草から、ここでずっと待ってたんだとわかった。
「あおいちゃん……」
「すばるがいるのは分かってたけどさ……」
 申し訳なさそうに目を伏せるあおいちゃんに、わたしは首を横に振った。
「わたしこそ気づかなくてごめんね」
 あおいちゃんが何か言おうとするのを止めるように、行こうよと声を掛け先に進んだ。すぐにあおいちゃんの足音が聞こえてくる。手の中に硬い感触がした。
「そうだ、お金持ったままだった」
「何か買うのか?」
「いちご牛乳買おうと思って」
「それなら付き合うよ」
「ううん、もういいの」
 あおいちゃんが来てくれただけで、さっきまでの気分が嘘みたいに嬉しい気持ちになっていた。今はいちご牛乳を飲むよりも、あおいちゃんといっしょに歩いていたかった。あおいちゃんもそれ以上は何も言わなかった。
 昇降口にはそろそろ帰り始める生徒がまばらに集まっていた。わたし達も靴に履き替え、帰っていく人達の流れに吸い込まれていった。あおいちゃんは変わらずわたしのほんの少し後ろを歩いている。
 校門が近づいたところで、わたしは立ち止まり、振り返ってあおいちゃんを見た。
「今日はごめんね。あおいちゃんがわたしのためにしてくれたのはわかってたのに……」
「すばる、ほら人が見てるって」
 振り返った瞬間、すっかりそのことを忘れていて、顔がかあっと熱くなる。
「でも、ちゃんと仲直りしてから帰りたかったの」
 あおいちゃんはいつものようにやさしく笑った。
「私も、ごめん。あんなことしてすばるが喜ぶわけないのにな」
 ほんとだよとわたしはおどけて、あおいちゃんもでも教科書を忘れたすばるが悪いんだからなとわざとらしく怒ってみせた。気付けば自然と足は前に進んでいた。

   5

 通い慣れた道も、こうして久しぶりにふたりで歩くと、なんだか懐かしいような気持ちがした。小さな頃はいっしょに手をつないで歩いて、いつからかあおいちゃんが恥ずかしがってあまりつないでくれなくなって。そんな日々を思い出しながら、数学の宿題が嫌だとか、ななこちゃんがちょっと部室を出ていったと思ったら理科の先生から白衣をもらったとか、朝この辺りにはかわいい猫がいるとか……そんな他愛もないことを話した。いつの間にかずいぶんと歩いていて、他の生徒もいなくなり、ふたりきりになっていた。
「あおいちゃん、今日はいっしょに帰ってくれてありがとう」
 ようやく、わたしは今日あおいちゃんに言いたかったことを言うための、最初のひとことを口に出した。
「なんだよ急に。今さらだろ」
「ううん。そんなことないよ。あおいちゃん、あのね……」
 わたしは緊張ですこしもたつきつつ、カバンの中からリボンでラッピングした小さな包みを取り出した。
「お誕生日おめでとう!」
 あおいちゃんはわたしとプレゼントを交互にみつめ、そっと包みを受け取った。
「すばる。ありがとう。覚えててくれたんだな」
「忘れるはずないよ」
 そうだなとつぶやくあおいちゃんは照れているのが、ぜんぜん隠せていなくて、とてもかわいらしかった。一秒でもこんなあおいちゃんを見ていたくて、緩みそうになる頬を一生懸命引き締めた。わたしの気持ちに気づいたら、きっとすぐに恥ずかしがってそっぽ向くんだから。
 そんなあおいちゃんを見ていると、おめでとうって言いたかっただけなのに、それだけなのに、わたしの方が素敵な贈り物をもらったみたいに胸がはずんだ。
「すばる、開けていい?」
 あおいちゃんは大事そうに両手で包みを手に取ったままはにかんだ。こくりとうなずくと、あおいちゃんはそっとリボンを外し包みを開けた。中からあおいちゃんが取り出したのは、薄水色のバーバリーチェックに二匹の子猫がすみっこに小さく寄り添ったブックカバー。
「すばる……」
「前にあおいちゃんがファンシーショップで変身してたの、ひかるちゃんに見つかったことがあったでしょ。その時にこれをすっごく熱心に見てたって教えてもらったの」
「そんなところまで見られてたのかよ!」
 頭を抱えるあおいちゃんに、いつしかのぴょんの刑を受けた時のことを思い出した。あの時のあおいちゃんもすっごくかわいかったなあ。
「うう、ひかるの奴……」
 まだ呻いているあおいちゃんの顔を覗き込んだ。
「……もしかして、嫌だった?」
「そんなことない! ただ、ひかるにそこまで見られてたなんて恥ずかしいよ……これ、すごく欲しかったんだ。だけど、変身してたら買い物できないだろ。だから本当に嬉しいんだ」
 あおいちゃんはブックカバーを包みに戻し、さっとリボンを結んでカバンにしまった。
「大事にするよ。今日は……本当にありがとな」
「うん!」
 そうしてわたし達はまた歩き始めた。ほんの半歩分、近く寄り添ってくれるあおいちゃんに、なんだか照れくさいような、でもそれ以上にしあわせな気持ちになった。
「なあ、今朝すばるがカバンを気にしてたのって……」
「うん。何回見ても忘れてないか気になっちゃうし、あおいちゃんが喜んでくれるか不安だったの。でも、そんなことあおいちゃんには言えなくて」
 ほんと、すばるはいつまで経ってもすばるだなと笑われちゃった。なにそれって怒ってもますますあおいちゃんは嬉しそうにしていて、ちょっぴり悔しい。でも、それ以上に心が弾んだ。
 一度離れ離れになって、いっしょに手をつないで帰った道をひとりで歩いて泣いたこともあったのに。こうしていっしょにお祝いが出来るなんて思ってもみなかった。来年も、こんな日が来たらいいな。
「ねえ、あおいちゃん。来年はみんなでお誕生日祝いたいね」
 きっと恥ずかしがるだろうなと思って今年はみんなに内緒にしたけれど、きっとみんなもいっしょにお祝いしたいって思ってくれると思うし、あおいちゃんもうなずいてくれると思っていた。でも、あおいちゃんから返ってきたのは意外な言葉だった。
「来年もすばると二人じゃ……だめかな?」
 思ってもみなかった言葉に、頭が追いつかない。かろうじて出た言葉は、なんだか言いたかったこととはすこし違うものになっていた。
「だめじゃないよ。……でも、どうしてそんなこと言うの?」
「だって、みんなに祝ってもらうなんて、嬉しいけど恥ずかしいだろ。それに……」
 あおいちゃんはそこで言葉を切って俯いた。わたしはただ続きを待った。
「私はすばると一緒がいいんだ」
 あおいちゃんは泣きそうな目でじっとわたしをみつめている。わたしはみんなと過ごす時間と、あおいちゃんとふたりで過ごす時間をそっと思い浮かべた。それで、すぐに答えは出た。あおいちゃんは不安そうにわたしの返事を待っている。
「ひとつだけわたしのお願い聞いてくれる? そうしてくれたらいいよ」
「な、なんだよ……」
 精一杯いじわるな顔をしてみたけど、そんなことしたことないし、きっと下手だったと思う。なのに、あおいちゃんますます不安そうにわたしが何を言うのか待っている。
「あのね、昔みたいに手を……つないで帰りたいの」
 初めからわたしの答えは決まっていた。だってわたしがいっしょに流星雨を見たいと思ったのはあおいちゃんなんだから。あおいちゃんといっしょに過ごしたいのは、わたしの望みでもあるんだよ。だからこれは、手をつなぎたいって照れ隠しなんだろうな。
「すばるがそうしたいなら、いいよ」
 わたしはほんの少しためらいがちに、あおいちゃんの手を握った。わたしの知っているあおいちゃんの手だった。ちょっぴり熱っぽいところも、どう握ったらいいのか迷うように強くなったり弱くなったりする握り方も、そのやわらかさも。
「すばる。何にやにやしてるんだよ」
 つっけんどんな口調も、顔を見れば照れ隠しだってわかって、ますます頬が緩んでしまいそうだった。遠くからバスの音が聞こえてきた。あおいちゃんが音に慌てた様子を見せたから、逃げないようにぎゅっと強く握りしめた。バスが通り過ぎるとほっとしたような表情を見せた。
 こんな風にくるくる表情を変えるあおいちゃんはとってもかわいい。あおいちゃんに言ったら、恥ずかしがっちゃうから、言葉はまだ胸の中にしまっておく。いつの日か、恥ずかしがらずに聞いてくれる日が来るだろうか。
 そんないつかの代わりのつもりで、ほんの一週間ちょっとの未来の話をしようと思った。
「あのね。今度流星雨が見えるの。だから……」
「行くよ」
 わたしが言い終える前にきっぱりとあおいちゃんは言った。そのひとことに泣いてしまいなほど、嬉しくなってしまった。
「ありがとう。これも約束だよ!」
 一年後と一週間後の二つの約束を、わたしは大事に胸にしまった。
「なんだかすごく待ち遠しいよね」
 あおいちゃんは楽しそうに笑った。
「あっという間だよ」
 あおいちゃんの言う通りかもしれない。わたしにとって一年は星空の移り変わりで、今の季節を楽しみながらも次の季節は待ち遠しく、でもすぐにこの季節の星空が名残惜しくなって。そうしてあっという間に季節は一周してしまう。これから先、あおいちゃんと過ごす日々もそんな風になるのかもしれない。小学生までの頃がそうだったように。あおいちゃんも同じことを考えてくれているのかもしれない。
 わたしはそんな未来を描きながら、ちょっとだけ手を強く握った。あおいちゃんもそれに応えるように握り返してくれる。
「ねえ、あおいちゃん」
「どうした、すばる」
「わたし、あおいちゃんのこと大好きだよ」
「私も……すばるのこと大好きだよ」
 いつの間にか陽は傾いていて、足許から伸びる影法師は仲良くぴったりと寄り添っていた。

おしまい
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重なる魔法
2019 / 03 / 09 ( Sat ) 20:26:42
『重なる魔法』(アニメ『放課後のプレアデス』第1話その後)

「流星雨だ。流星雨だよ。今夜は、見られないと思ってたのに……」
 満天の星空を流れ星が降り注いでいく。あおいちゃんと、それからいっしょにいた3人の女の子も息を呑むのが伝わってくる。
 小さなころからお父さんには天体観望にいろんな所に連れていってもらってたのに、こんな満天の星空は初めてだった。星の降る音さえ聞こえてくるよう。

「そろそろ帰ろっか」

 星の降りやんだころ、ツインテールの女の子がにかっと笑いかけてきた。流星雨、終わっちゃったんだ……こんな綺麗な星空はずっと見ていたくなっちゃう。
 女の子の後ろにいるあおいちゃんを見て、魔法使いの衣装もヘンテコなほうきも、プロテクターフィルタも、夕暮れに見掛けた私の知らないあおいちゃんも、あおいちゃんの友だちも、全部わすれて流星雨を見ていたんだと気づいた。さっきまでのもやもやとした気持ちも、いつの間にかなくなっていた。
 安心した瞬間、ふっと体が後ろへと倒れていく。そうだ、私はいま空の上で………遠ざかるあおいちゃんたち、赤い女の子………
 悲鳴を上げながら落ちていく。
「すばる!」
 あおいちゃんの声が聴こえて、直後どんっと全身に衝撃が走った。
 おそるおそる目を開けると、あおいちゃんが私を心配そうに覗き込んでいる。目が合うと、少し困った顔をして、途端に怒った目になった。
「言ったろ。何があってもドライブシャフトは放すなって」
「……あおいちゃん? 私……」
 どうなってるのという言葉は、あおいちゃんに抱き抱えられているのに気づいて消えていった。
「ありがとう……も、もう大丈夫だから」
 地面に降りようと、身じろぎする。
「また落ちるだろ」
「あ、そっか」
 あおいちゃんは何か言葉を探すように黙りこんで、それから息を吐いた。あおいちゃんにお姫様だっこされていることが恥ずかしくて、でもあおいちゃんから目をそらせずにいた。
 あおいちゃんの後で、流れ星が見えた。
「……綺麗」
「……なんだよ急に」
「今ね、すっごく綺麗な流れ星が見えたの」
 堰を切ったように、言葉が溢れ出てくる。
「私ね、今日あおいちゃんと流星雨が見れてとてもうれしかったの。もう、一緒に見れないんじゃないかって、ずっと思ってたの」
「すばる……」
「また、一緒に見れるかな?」
 あおいちゃんは少し泣きそうな顔になって、口を少し動かして、でもその声は聞こえなかった。
「いいじゃん!一緒に見ようよ」
「これから一緒にカケラ集めもするんでしょ」
「vayamos juntas」
 あおいちゃんといっしょにいた子たちが集まってきていた。
「わ、私はまだすばるもやるって認めたわけじゃ……」
 私を抱きかかえたまま口をとがらせるあおいちゃんに、ひとりの女の子が顔を寄せた。
「救世主」
「この5人でなら、きっとできると思わない?」
「……そう、かもな」
 あおいちゃんがしぶしぶ頷くのを見て、3人は微笑んだ。
「すばるちゃん、これ落としてたわよ」
 そう言って、綺麗な髪の女の子が差し出したヘンテコなほうきに、おそるおそる手を伸ばした。
「ほら、すばる。もう大丈夫だよ」
 あおいちゃんも私の体を放した。ふわりと体が浮かんでいる。左手はあおいちゃんが握っているけれど、きっと手を離しても飛んでいられそう。
「……魔法みたい」
「魔法とはちょっと違うな。そもそも君たちの力は、僕たちの技術によって取り出された可能性の……」
「ストップストップ!」
 突然、前髪の長い不思議な雰囲気の女の子がむずかしそうなことを話し始めた。その子の頭の上の青くてまるいぬいぐるみを、ツインテールの女の子が取り上げた。
「会長の言うことは気にしない」
「そうそう!こーやってもう飛んでるんだから」
 なんてことないように笑うふたりを見て、私もつられて笑った。むずかしい顔をしてているあおいちゃんの右手を離すように、もう大丈夫だと私の右手を重ねた。
「……わかった。だけど落ちるなよ」
 手がほどけた。私の体は頼りなく、でも空を飛んでいた。
 ツインテールの子がこちらを確かめるように見て、少し頷いた。
「さあさあ帰るよ!もーお腹ぺこぺこ」
「お腹を空かせたひかるは手がつけられない」
「そんなこと言うなら、ななこが教室に隠してるお菓子がどうなってもいいのかなあ?」
「いつきの隠し場所なら知ってる」
「やめてー!」
 3人とも楽しそうに話し始めたのを見て、あおいちゃんはため息をひとつ。
「……まったく、今日はすばるもいるのに。ほら、先に行くよ」
 遠ざかる背中に、待ってと声を上げて追いかけていく。飛び方はよくわからないけど、ふらふらしながら前へ進んでいく。小さくなっていった背中は、少しずつ大きくなって、いつしか並んで飛んでいた。
「あおいちゃん、どこに行くの?」
「学校」
「学校?」
「荷物、置いてきたろ?」
「ほんとだ! 望遠鏡、忘れてた」
「……すばるはさ、嫌じゃない? カケラを集めるの」
「カケラ?」
「すばるがつかまえたその小さい星みたいなの。それを、5人で集めるんだ」
「嫌なんかじゃないよ。こわかったけど、こうやってまた、空を飛びたいって思ってるよ」
「ああ……」
 いちばん嬉しかったことは言葉にはできなかった。代わりに出てきてのは、星の話。
「ねえ、あおいちゃん。見られてよかったね、流星雨」
「うん、そうだな」
「あの、これからよろしくね、あおいちゃん」
「うん、こちらこそ、すばる」
「なんでそんなに初々しいの?」
 気が付けば、3人も私たちに並ぶように飛んでいた。
「なんでって言われても……」
 あおいちゃんは困った顔をしていたけれど、私はちょっぴり心地よかった。春にあおいちゃんと離ればなれになってから、初めてこんな風に並んでいるんだから。空を飛ぶよりも、温室で綺麗な男の子に出会ったことよりも、あおいちゃんと一緒にいられることが、私には何よりも魔法みたいだった。解けてしまえば、きっと全部なくなってしまう。そんな魔法
 あおいちゃんは黙りこんで、3人も何も言わなかった。ヘンテコなほうきの出す音だけが夜空に響いている。

 しばらく飛び続けて、今は、雲を抜け雨の降る中を飛んでいる。不思議と濡れることはなくて、確かめたけど髪も跳ねたまま、ちっとも直ってくれなかった。
 やがて、遠くに学校が見えてきた。窓に見える明かりはほとんどなくて、知っているようで知らないところに見えた。
「すばる、あれ……」
 あおいちゃんがどこかを下の方を指差した。飛ぶのにいっぱいいっぱいで、どこを指してるのかもわからない。
「あれ、すばるの家の車じゃないか?」
「あおいちゃんわかるの? 全然わかんないよ!」
「絶対そうだって! ほら、あの坂のあたり……」
 がんばって坂の方を見ても、なんにも見つからない。
「迎えに来たんじゃないか?」
「……そう、かも」
 お母さんにはいいって言ったけど、傘も忘れたし、雨なのにこんなに遅くなっちゃったし、お父さんが心配して来てくれたのかな。
「ほら、早く学校に戻るぞ!」
 あおいちゃんは私の手を引いてスピードを上げていった。後ろでは、「なになに? すばるの親御さん?」「見てみたい」「なんてあいさつしたらいいのかしら」とか、口々に話しているのが聞こえた。

 学校は思ったよりも近くて、あっという間に着いてしまった。途中、お父さんの車の上を通った時は、あおいちゃん教えられて、やっと私にもわかった。
 先に校庭に降り立ったあおいちゃんに見守られながら、私も校庭に着地した。すぐに3人も追いついてきた。車の音が遠くから聞こえるような気がする。
「あの……お父さんに頼めば、きっとみんなのことも送ってくれると思うんだけど……」
「やったじゃん!」
「ひかる!」
 ツインテールの子がはしゃいだ声を上げたのを、あおいちゃんが遮った。
「私たちにはシャフトがあるから。こっちの方が速いしな。それに、この格好を見られるのは、その……」
「すっごく似合っててかわいいよ。きっとお父さんもお母さんも喜ぶんじゃないかなあ」
「なっ!かわいいって……ほら、とっとと荷物取りに行くよ!」
「それならここに」
 不思議な女の子が頭の上のまるいものを私の前に突き出した。まるいのは口をもぐもぐさせるようにして、ふっと何かを吐き出した。それは私の腕に落ちてきた。
「これって、望遠鏡!?」
「なに、僕にかかればこれくらいの望遠鏡のひとつやふたつ、わけないさ!」
「わらび餅みたいな格好でも、役に立つことってあるんだな」
 「失礼な!」と女の子がふたりで言い争い始めた。もう、車の音ははっきりと聞こえてきている。
「すばる」
 あおいちゃんがさっと私のリボンを取ってしまった。すると、手の中にコンパスを残して、あっという間に元の制服に戻っていた。雨が服を濡らし始めると同時に、1台の車が校門前に止まった。
「ほら、急がないと濡れるぞ」
「また、会えるよね?」
「カケラ、集めるんだろ? 今度は落とすなよ」
 あおいちゃんの手には、私がつかまえたはずのカケラがあった。いつの間に落としたのだろう。カケラを見ていると、本当にまた会えるんじゃないかって気がしてきた。
 行こう。魔法が解けたらきっともう会えない。それでも、行こう。「今度」を信じてみよう。
「あおいちゃんだって、落としたりしない? あのね、あおいちゃん、今日はありがとう! みんなもありがとうございます!」
 望遠鏡を肩に掛け、手を振りながら駆けていった。

 なあ、あおい。変身中の私たちって……。そんな言葉が夜風に乗ってかすかに聞こえた。

 車の中にお父さんの姿を見つけると、制服が濡れていないかを確かめ、後部座席に滑り込んで望遠鏡を膝に置いた。タオルを受け取って軽く髪を拭く。
「今日は残念だったな」
 ルームミラー越しに心配そうにつぶやくお父さんと目があった。フロントガラスにしとしとと降る雨を見て、見られなかったはずの流星雨を思い出した。
「そんなことないよ」
「何かいいことあったのかい?」
「うん」
 お父さんは続きを待つように、ハンドルから手を放して、深く椅子にもたれかかった。
 流星雨のこと、空を飛んだこと、あおいちゃんのこと……どう伝えたらいいんだろう。
「……ひみつだよ」
 お父さんは大げさに嘆くものだから、つられて笑った。落ち着いたところで、お父さんは振り返ってまじめな顔をした。
「すばる。お友だちはいいのかい?」
 手を振っているところを見られたのかなあ。呼びに行こうか迷ったけれど、教室の明かりはもう消えていた。
「うん、大丈夫……」
 それを聞くと、お父さんは車を走らせ始めた。エンジン音が聞こえてくる……あのヘンテコなほうきの音は、車の音だったんだ……
 魔法のような時間だった。あおいちゃんとまた星を見られるなんて思ってなかった……エンジンの音は、あおいちゃんと離れて解けた魔法を、もう一度かけてくれるような心地にしてくれた。

 この魔法も、きっと明日には解けてしまう。カケラ集めなんてない、いつもの日々。温室もきれいな男の子もいない。あのあおいちゃんは、きっと私の知らないあおいちゃん。どこにもいない夢の中のあおいちゃん。「今度」はあるのかもしれないし、ないのかもしれない。

 明日は、声をかけてみよう。あの学校のかわいらしい制服を着た、私のあおいちゃんに。もしかすると、あの赤い髪の女の子とも友だちになれるかもしれない。

 お父さんと車の中で話しているときも、家に帰ってみんなで晩ごはんを食べている時も、耳に残るエンジンの音が私に魔法をかけてくれた。
 毛布にくるまって、今日あったいろんなこと、しあわせなことを思い出していた。エンジンの音を少し変わった子守唄に、まぶたが落ちていくのを感じていた。
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マイベストキャラクターソング15選
2019 / 03 / 01 ( Fri ) 06:34:09
マイベストキャラクターソング15選

1.はじめに

ぎけんさんのところでベストキャラソンという企画(キャラソン選)があったのですが、そこのルールでキャラクター名義であることと、OPED以外というのがなっていました。結果、ものすごく好きな曲が対象外だったりしたので、企画とは別に別途記事を作っちゃおうとなったのがこちらです。
OPEDから非キャラクター名義のものまで自由に選曲しています。また、企画の方では書く方も読んでくださる方もアニメ系の方が多そうだったのでアニメ縛りにしましたが、こちらではアニメに限らず選んでます。


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お気に入りキャラクターソング10選
2019 / 02 / 28 ( Thu ) 22:35:43
お気に入りキャラクターソング10選

1.はじめに

 この記事では、ぎけんさんという方が始められた「OP・ED以外のキャラクターソング選」という企画記事です。当該企画は、参加者はキャラクター名義の楽曲(アニメのOP・ED除く)から5~10曲を選んでブログ等にまとめるというものです。

 なお、今回の選出に当たって、「キャラクター名義」についてですが、同一の楽曲についても複数の名義が見られることから、公式HP(作品又はレコード会社)、CD(ブックレットやジャケット含む)、歌詞サイトのいずれかでキャラクター名義の表記が見られた場合、「キャラクター名義」であるとみなしております。また、個人的にアニメ関係の曲の縛りと、極力挿入歌は省いています。曲順に特に意味はありません。

参考:企画元

「OP・ED以外のキャラクターソング選」(ぎけんさんのブログより)
http://unmake.blog133.fc2.com/blog-category-43.html

また、企画とは別にOPEDなどから選んだ記事も作りましたのでよろしければ。
マイベストキャラクターソング15選
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