ゼラニウム
2012 / 09 / 28 ( Fri ) 23:10:01
ゼラニウム 堀江敏幸 中公文庫

感想というよりもほとんどメモ

 堀江さんの作品としてはあんまり好きな方じゃなくて、女の人と結ばれる種々の関係がどこか暗く描かれている。ものでも言葉でも空間でもなくて、関係に重点が置かれているところが他の作品との大きな違いのような気がする。それにしても、堀江さんは本当に作品ごとに違う文章を書くなあと思う。

 特に印象に残っているのは「アメリカの晩餐」だ。唐突に目の前の彼女から出てくる一人称複数が実は単なる料理の名前の聞き違いで、「メ・ヌー」と「メヌード」の間の言葉の揺らぎのようなものが本当に好きだ。堀江さんの作品を考えるときには、やっぱり聞き間違いというのがあって、この言葉と言葉の間にあるなにかはいつも気になる。まだ全部読めてないけれども「正弦定理」にも聞き間違いの話があったこともふと思い出した。
 そして、「砂の森」のラストもすごく良い。妙に神秘的で官能的でそのくせ底抜けに明るい。
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日本霊異記
2012 / 09 / 06 ( Thu ) 19:32:14
日本霊異記(全三巻) 講談社学術文庫

感想

 上巻は古代的な物語としてのおおらかな想像力が面白く、中巻や下巻となると完全に仏教説話集となってきてまた別の面白さがある。日本最古の仏教説話集らしく、神話的物語の特徴と明快な因果応報の物語としての特徴を兼ね揃えている。
 なによりも目を引くのが、仏教のあり方である。中巻・下巻を読んでいるといやでも伝わってくるものがある。
 仏教絶対主義といえるほど、あらゆるものに対する仏教の優越性が説かれている。たとえば法師を打ったり、間違いを指摘したりすると問答無用で仏罰が下る。仏教教団が利権集団であるということは前々から理解していたが、それ以上に他に対する優越性を持った権利集団であったことには驚いた。
仏教の正当性・優越性がまず先にあって、そのためには教義さえも捻じ曲げられてしまうきらいさえある。さらに、僧は社会的に搾取者であるという立場の認識さえなく、自らの立場・教義に対する批判的態度がきちんと形成されていないのではないか。
 先ほど利権集団と書いたのは、仏教教団は国家の保護を受けて税などの面からかなりの富を蓄えることができた面などを指す。古代国家において、私度僧などは求道心よりも国家の支配(徴税など)から離脱することが目的であることが多いし、それは行基の教団に集まった数千人の人間も同様である(もっとも、古代国家においては国家仏教であったから、仏教それ自体は強い管理下に置かれていた)。行基の教団が、行基の大僧正任命とともに急速に廃れていくのは、大僧正任命が教団を国家の支配下に置くことも意味したからである。もっとも、このあたりの歴史認識は間違っているかもしれないのだけれども。
 もう少し、作品の内容について述べると、先ほども書いた明快な因果応報の原理が興味深い。今昔物語や宇治拾遺などの仏教説話は因果応報ではあるものの、信仰の物語としての要素が大きい。しかし、霊異記では仏教の因果応報の原理は、信仰の有無にかかわらず世界全体を貫いているという印象が強い。そのためか、賞罰が容赦ないように思われる。
 それにしても、仏教説話を読んでいていつも思うのは、悪いことをした人が罰せられるのはよくわかるのだけれども、その罰に巻き込まれて不運をこうむった人も悪いことをしたからひどい目に合うのだろうか。そうじゃなかった、何か割に合わないなあと思う。殺生戒として肉を食べてはいけないというのもあるけど、植物は命として認識していないのもどうかと思う。
 とにかく、仏教説話としての面白さもあるけれども、仏教の思想を感じ取るにもいい作品だと思った。ちなみに正式名は日本国現報善悪霊異記らしい。

以下、気になった話の感想・メモ。ほぼ自分用。
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コミックブレイド感想(2012/10)
2012 / 09 / 04 ( Tue ) 19:17:37
ソニコミ
まったり漫画なのかよくわからないけれども、キャラがなあ。
薄いというわけではないけれども、次々写真勝負してはい、終わり感が。

レイン外伝
あっさりとしつつも、レインのホークへの思いやりがいい。
外伝ということで少し不安だったけれども、結構いい感じ。
来年には次章に行く予定だから、単行本1巻か2巻ほどだろうか。

ヒトガタナ
ついに最終決戦(?)が始まって、これからどう盛り上がりを見せるかが楽しみ。
前号あたりで死亡者か何かをほのめかしてたのがちょっと気になる。

バガタウェイ
前半早々2点も入っただけに、試合展開がどうなるか楽しみ。
大野城はすでに交流戦でだいぶチームの様子が描かれたけれども、この試合ではどうなんだろう。
今のところはさらなるチームの結束が描かれていっているけれども。

戦国妖狐
ついに黒月斎がきた。何があったのかすごく気になる。
でもって月湖がどんなふうに成長するのかも楽しみ。
それにしても、千夜対迅火が最終戦になるんだろうなあ。神雲の扱いはいかに。

そふてにっ
試合もぱっとせずかといってギャグにも走らないともはや何かわからない。
そもそも方向性が分からない。

MARTYRIA
2話からいきなりの超展開で、続きがどうなるのかすごく気になる。
次の話で主人公の立ち位置はどうなるのか。

すみっこの空さん
いい話でも切ない話でもなくて、本当にちょっと立ち止まって低い目線で考えた話。
火の用心の拍子木だとか、食べきれないうどんとか、作者の目線は本当にいいなあ。

バベルハイムの商人
話としては普通に面白いけれども、あの棺の件はどこいった。
交易世界が全然傾いてないという。

新藤☆劇場
スルー。来月打ち切りか。

ROBOTICS;NOTES
2話掲載でよく頑張ってるなあと思う。
ロボばバンの決勝戦の結果はいい意味で裏切られた。
ズルしてでもコンティニューとか、アキとカイのキャラがよく出ている。
にしても、日高の財源はどうなっているんだろう。

B.B.GIRLS
着々と強いメンバーが集まりだしていて、主人公のレギュラーへの道は遠ざかるばかり。
ほのぼの漫画としては純粋に楽しいのだけれども、試合大丈夫かなあ。

Princess Lucia
いつもより露出が少なくてよかった。

魔法少女プリティ☆ベル
サイカ(だっけ)はどうしてこうも疑うことを知らないのだろう。
西の魔王とかもう負ける気がしてならないんだけどなあ。
過去話でしか出てないし。

コープスパーティー
一気に物語が進んだ。
でもどういう風に終わるのかも見当つかないなあ。

フカシギフィリア
なんとかだけど無事完結。エスプリトと比べるとやっぱりキャラクターとか世界観がなあ。
最後の対イスミの理屈がわからなかったり、なんか内輪で幸せそうな感じだったり、置いていかれた感。
ともかく、筒井さんは本当によく仕事をしているから好きだ。
早く次のオリジナル連載が読みたい。
とはいえ今作みたいに来月とか早すぎないことを祈る。シークレット新連載とかやめてよ。

とらねこフォークロア
安定の展開。普通にバトルして、普通に終わった感。

南鎌倉女子自転車部
これまた安定の展開。普通に自転車乗って終わった感じ。
今まで小さくても山場ってあったっけ……

浦和HolyOrder
うーん、ありきたりの一つ屋根の下としか言いようがない。

京洛れぎおん
千鳥は相変わらずかわいい。他のキャラもやっぱりかわいい。
キャラクターが本当に生き生きしていて楽しい。
でもって、やひろさんの正体がすごい気になる。明らか確信犯でしょ、熊退治。

素足のメテオライト
こっちはいい感じで綺麗に終われそう。いい感じであと1話残したなあ。
ダルミルが消えるのはよくある展開だけれども、くどさを感じなかったのもいいなあ。

ひらめきはつめちゃん
たっくんはよくあんな両親からいい子に育ったなあ。
安定して面白い。

13GAME
呼吸音とかも結構な音のような気がするのはどうなんだろう。
とりあえず、主人公がパートナーを助けるかして信頼立てていくタイプか。

Mortal METAL
相変わらずだけどよくわからない。

マザーキーパー
ページ数が少なすぎて何とも言えない。

アニメの時間
小森さんが思った以上に主人公に好意を抱いていてビックリ。
でもって、主人公のプレゼントもチョイスいいなあ。無自覚は罪だわ。

イレブンソウル
まさかの超展開。予想外の展開すぎて、すごい引き込まれる。
奈々がどうしてあそこまでかませ犬だったのかも納得。
まさかここまでのどんでん返しが起こるなんて。続きがすごく気になる。
たけちーは果たしてこの勝負に勝てるのか、そこらへんも気になるなあ。
今月はこれが一番面白かったかな。

スケッチブック
ハムスターの走るやつで麻生さんか鳥飼さんが空の想像の中で走っているのが笑えた。
そして、それを読む二人もすごい。
でもって、栗原先輩を女子高生っていうと妙に違和感があるのはどうして。

総評
作品ごとの面白さはだいたいいつも通りになったけれども、イレブンソウルはとびぬけて面白かった。
次回予告がモノクロで、単行本の新刊紹介もカラーだけどセンターカラーの裏ページってどうよ。
いってつまらなそうな感想を書いているけれども、なんだかんだいって今月もすごく楽しめた。
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