赤髪の白雪姫(感想) その2
2015 / 07 / 23 ( Thu ) 18:38:45
あきづき空太『赤髪の白雪姫』(アニメ)(ボンズ/原作:漫画)

赤髪の白雪姫 第2話 感想 ――原作にはない新しい魅力――

1.はじめに

 前回に引き続き、今回もアニメ『赤髪の白雪姫』の感想です。第2話もとっても素敵でした。この作品の魅力は、ぱんさん(@frenchpan)のブログ(http://www.palepalette-blog.com/entry/2015/07/15/011109)の方がよっぽど伝わってくると思うのでぜひお読みください。というわけで、前回と同じく原作との比較からその魅力について書いていきたいと思います(もともと原作を読んでいるので、その比較をしながらアニメを楽しんでいるというのも相当あります)。その中でも、今回は原作にはないアニメ版の魅力を中心に書くつもりです。
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赤髪の白雪姫(感想)
2015 / 07 / 18 ( Sat ) 23:17:22
あきづき空太『赤髪の白雪姫』(アニメ)(ボンズ/原作:漫画)

赤髪の白雪姫 第1話 感想――「物語」は誰のものか――

1.はじめに

 アニメ化決定前から原作を全巻そろえてたので、放送開始前からずっと楽しみに待ってました。そして、期待以上の出来。そんなわけで、絶賛ひいき目であれこれ感想を書いていきます。
 なお、このアニメの良さはぱんさん(@frenchpan)のブログ(http://www.palepalette-blog.com/entry/2015/07/09/133325)を読んだら分かるのでぜひお読みください。単にこの作品の魅力を語るならば、ぱんさんのブログを読んだ方が良いことにしかならなさそうなので、今回は原作と比較しながら、変更点から感じたことについてまとめていきます。基本的には、以前某所で簡単に書いたものと同じ内容になります。
 ネタバレたっぷりなので、続きからどうぞ。
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響け!ユーフォニアム(感想) 2/2
2015 / 07 / 06 ( Mon ) 10:55:03
第12話感想――揺れ動く黄前久美子像――(後編)

1.まえがき

 以前、12話の久美子の描かれ方について簡単な感想を書きました。内容の大雑把さもさることながら、まだ非常に気になることが残っています。それは、久美子とユーフォニアムという楽器との関係性です。久美子は「うまくなりたい」という言葉と共に主役になりました。そして、それを支えていたのが「ユーフォが好きだから」という思いです。一見すると、姉に対する反発とも取れますが、この思いはどこから来たのでしょうか。何人かと比較しながら考えてみたいと思います。

2.久美子とユーフォニアム

 物語の冒頭では、久美子のユーフォニアムや吹奏楽への微妙な思いが描かれます。憧れのセーラー服もありますが、いろんなものを新しく始めたいという思いで北宇治に入学した彼女は、北宇治の吹奏楽部について事前にまったく情報を入手していません。吹奏楽部に入るかどうか決めていませんし、高坂さんの姿を認めると吹奏楽部を避けようとさえ考えます。しかし、マウスピースに一生懸命になる葉月たちと接するなかで入部を決めるあたり、吹奏楽への思いが見え隠れします。また、ユーフォニアムの代わりにチューバ君のストラップをつけていることから、ユーフォニアムへの愛着がないわけではありません。

 とはいえ、ユーフォニアムへの思いはそれほど感じられません。小学生の時ユーフォニアムになったのはなり手がいないからで、中学でもそれは同様です。あまつさえ、高校ではトロンボーンを選ぼうとします。また、葉月とサファイアが楽器に名前をつけるのに対し、久美子は名前をつけません。

3.サファイアとコントラバス

 冒頭から久美子と対照的に描かれるのがサファイアです。サファイアは必ず吹奏楽部に入ると決めており、コントラバスが大好きだと命かけてると繰り返します。また、コントラバスを選ぶときは「目が合った」といい、率先して名前をつけます。楽器を人間のように愛情持って接し、楽器の痛みは奏者にも伝わると楽器と奏者は一体と言わんばかりでもあります。また、直接練習シーンが描かれることは少ないですが、非常に熱心に練習していることがしばしば描かれます。音楽が、コントラバスが好きだからこそ熱心に練習するということがはっきりとわかります。

4.葉月とチューバ

 好奇心旺盛で行動力の溢れる葉月は、運命(と策略)に導かれてチューバを選びます。そして、彼女もサファイアと同じようにチューバに名前をつけます。やるからには一生懸命やりたいと、時には重いチューバを持ち帰り熱心に練習をします。しかし、なかなか上達せず苦しみを抱えます。久美子は、頑張ってもなかなか上達しないのは周りが思っている以上に本人は深刻だと、自身の経験から率先してフォローに走ります。葉月は久美子とサファイアの3人でアンサンブルをし、音楽とチューバの魅力を感じとります。

5.高坂さんとトランペット

 高坂さんのトランペットへの思いはなかなか語られません。しかし、8話でトランペットなら特別になれると、確信を持って語ります。作中では要所要所で練習する様子が挿入されます。彼女にとってはトランペットがアイデンティティであることははっきりと伝わります。そして8話で「愛を見つけた場所」を久美子と一緒に吹こうとするとき、「好きなの」とさらりと言いますが、彼女なりに思い入れを持って吹奏楽をやって来たのだと感じ取れます。

6.わたしのユーフォニアム

 オーディションの待ち時間、久美子はユーフォニアムをぶつけてしまい、思わず痛いと言ってしまいます。そこで、サファイアは楽器と奏者は一心同体であると言います。その前にはそれと対応するように、中学で先輩とのいざこざでユーフォニアムをぶつけて痛いと苦しむ様子も挿入されています。久美子とユーフォニアムの親密さが表現され、同時にサファイアによって、葉月とサファイア同様ユーフォニアムへの命名も行われます。

 それだけではありません。久美子は葉月にかつての自分を重ね合わせます。高坂さんに導かれるように、うまくなりたいと誰にも負けたくないと思います(そこには特別になりたいという思いと通底します)。そして、サファイアのように懸命に練習をします。久美子とユーフォニアムの思いは、他の部員と通ずるものがあるように描かれています。特に、楽器への愛をはっきりと語るサファイアと同様に熱心に練習をしはじめた直後に、「ユーフォが好きだから」「うまくなりたい」とその思いが語られます。

 久美子のユーフォニアムへの思いは、時に中学からの淡い思いを深めるように、時に他の部員と重なるように描かれながら、12話で結実するのです。久美子のユーフォニアムへの思いは、単に無自覚だった思いに気づくわけでもなく、高校になって新しく好きになったのでもなく、きっとその両方なのでしょう。12話に注目すると練習することと好きであることが安易に結び付いているようにも見えますが、久美子の思いは少しずつ着実に描かれています。

7.まとめ

 ここでは簡単な要素を拾い上げましたが、本当はもっと複雑な思いが隠れているはずです。秀一との関係、姉との関係、オーディションに受かったこと、中学とのつながり……。たとえば、葉月がチューバを持って帰って練習するのに触発されユーフォニアムを持ち帰ったり、秀一がひとり練習するのを見てうまくなりたいとつぶやくなど、感化されやすい性格も見えます。そういったあれこれを含めた中で久美子は確かにユーフォニアムが好きなのです。久美子にとっても、この思いは意外だったのでしょう。だから滝先生を通して自分の思いが間違っていないと確認する必要があったのです(もしかすると、視聴者の意外に思う気持ちを緩和するためにもあったかもしれませんね)。

 久美子とユーフォニアムの関係は、他の部員と楽器との関係を映し、それゆえにある種物語を総括する力があるのかもしれません。久美子のいちばんの「特別」は、ひょっとすると、こんなありふれた思いなのかもしれません。

8.おまけ

 この感想を書いていて、改めて高坂さんと中世古先輩の重要性というのを感じました。物語中、高坂さんは「特別」な人として、重要な場面でしばしばトランペットを吹いています。3話の『新世界より』が印象的ですよね。その彼女と対等に演奏するのは、8話の久美子と11話の中世古先輩だけです。この作品が、特別になる物語とするならば、「特別」の「特別な人」になった久美子、「特別」に並ぼうとする中世古先輩、そして「特別」な高坂さんは、それぞれ異なる形でこの物語の主人公なのかもしれません。というこじつけです。
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響け!ユーフォニアム(感想) 1/2
2015 / 07 / 06 ( Mon ) 10:48:09
武田綾乃『響け!ユーフォニアム』(アニメ)(京都アニメーション/原作:小説)

第12話感想――揺れ動く黄前久美子像――(前編)

1.まえがき

 『響け!ユーフォニアム』の全13話が終わりましたが、12話が特に重要な話であることは異論はないでしょう。TLでもさまざまな言及が賛否含めてありました。その中で久美子の物語上の位置付けに関して面白い考察がありましたので、それに関して思うことを以前につらつら述べました。今回はそれをもとに、久美子について少しばかり感想をまとめたいと思います。※

2.物語の主役としての久美子

 すでに蠅さんやしんめいかいさんが指摘されていますが、12話において久美子はついに物語の主役となります。すなわち、これまで部の中で主体的に立ち回ることなく、部のあるいは物語の傍観者として振る舞っていました。確かに久美子は主人公として、物語の語り手などを務めてきました。しかし、物語は吹奏楽部内の問題や、部長、中世古先輩、葉月、高坂さんなどの比重が大きく、久美子にスポットライトが当たるのは12話まで待たなければなりません。

 10話、11話は中世古先輩と高坂さんが主役と言っても良いでしょう。それに対し12話は久美子が主役です。しかし、この3人が同じ主役としてひとまとめにしてもいいのでしょうか。私は、久美子に関しては彼女らと決定的な違いがあると思います。

3.ひとりのユーフォニアム奏者としての久美子

 12話における久美子は、問題を部活内の問題ではなく自己の問題にしていくことで、いち吹奏楽部員からひとりのユーフォニアム奏者へと変わっていきます。滝先生から、必死に練習したフレーズを外されたときはひとりうなだれ、周囲から心配そうに見つめられます。この時、他の部員から久美子へ視線が注がれるだけで、久美子からの視線はありません。そして、学校の外で、ひとりになって「うまくなりたい」と繰り返し、誰にも負けたくないと言います。走る久美子を夜景を背景にさまざまなアングルで映していく様子は、明らかに他の場面にはなく、ひと目見てもその特殊性は感じられるでしょう。こうして吹奏楽部という舞台から遊離するように、久美子はいち吹奏楽部員を越えて、ひとりの演奏家として描かれます。そして、現実に引き戻されるように「学校へと戻り」、吹奏楽部員として滝先生から言葉を投げ掛けられるのです。

 もちろん、中世古先輩もひとりの演奏家として再オーディションに望んだことでしょう。しかし、優子が高坂さんに語るように3年間の部活への思いも見えてきます。何より、再オーディションは、部の不和という問題がきっかけであり、10話、11話と通してこれまでのように部内の人間関係などが丹念に描かれています。中世古先輩も優子も、そして高坂さんでさえ
いち部員たちの出来事として再オーディションは描かれます。

4.吹奏楽部員としての久美子

 それでは、吹奏楽部員として久美子はどのように描かれていたのでしょうか。

 最初はただ部の方針に従うだけの存在に過ぎません。いわば傍観者です。自ら部員として何かを選択しようとはしません。部の目標を決めるときは手を挙げず、サンライズフェスティバル出場をめぐって部がもめたときも、特に何も主張せずいつも通り練習に向かいます。久美子の行動の多くは、葉月とサファイアとの友情や、高坂さんとの微妙な関係、低音パートなど限られた人間関係の中で生活し、それにしたがって行動しています(3話で葉月とサファイアが練習方針を話すとき、意見を求められた久美子の言葉を遮るように高坂さんのトランペットが鳴り響きます)。

 しかし、少しずつ久美子は部に自ら関わっていきます。初期の段階から、夏紀先輩に一緒に練習しようと声をかけ(ただし深入りはしません)、立華高校の友人の前で部全体を見渡し自分の居場所であると認識するなど(直前に吹奏楽部のみんなから離れて友達に会いに行っています)、わずかながら部との関わりの萌芽が見られます。本格的になるのは、7話で葵先輩が辞めると言い出したときに、音楽室の外まで追いかけ(ただし、葵ちゃんと呼んでいます)た後、夏紀先輩から過去のことを聞き出したことが最初でしょう。ここでは直後に、中学時代に先輩から疎まれた過去が挿入され、部内の確執を避けたい心情がうかがえます。

 そしてここはまだかなり個人的な人間関係に基づく行動ですが、8話を挟んで9話では夏紀先輩が練習をしているのを目撃したところで、みんなオーディションに受かりたいのだと気付き、他の部員と出場枠をかけて争うことを怖いと思うようになります。ついに個人的な関係抜きに、ひとりの部員として吹奏楽部と向き合うようになるのです(中学のことがあったのに、なぜ怖いとは思わなかったのか少々疑問の残るところです。個人的には、中学時代は競いあうような環境ではなく、自分も含めみんなが本気という状況に初めて直面したのでしょう)。10話ではオーディションを終えて冒頭に中学の苦い経験を思い起こしますが、夏紀先輩によってついにその呪縛から解き放たれます。そして、11話では、優子に面と向かって高坂さんにがソロにふさわしいと言い、再オーディションでは立ち上がり高坂さんこそがソロにふさわしいと拍手しています。誰に何を言われようとも、部の中で自分を貫きます。そこにはもう傍観者としての姿はどこにもありません。ひとりの部員として全力で部と向き合っています。

5.揺れ動く久美子

 さて、久美子は「傍観者」でした。「傍観」には必ず見る対象が存在しています。では、その対象とは何か。吹奏楽部であり、また物語そのものでしょう。久美子は揺れ動きます。傍観者、吹奏楽部員、ユーフォニアム奏者と。傍観者から少しずつ吹奏楽部員へとなり、ほんの一瞬、物語の主役としての輝きを見せます。また吹奏楽部員に戻りますが、そこにいる彼女は決してこれまでとは同じではない新しい彼女です。だからこそ、12話の彼女は美しいのかもしれません。

 最初は、少しずつ吹奏楽部員としての主体性を積み上げてきたのに、急にひとりのユーフォニアム奏者として部という枠を飛び出したのか不思議な気持ちでした。何の根拠もないのですが、今は少しだけ納得しています。

 この物語は、傍観者が主役になる物語です。しかし、ここには大きな困難があります。久美子を主役として舞台に引き上げるのは、他の誰でもない高坂さんです。8話の山の上で、久美子は高坂さんの力強い生き方に、今なら死んでも良いとさえ思います。そこには完全に高坂さんに魅了された姿があります。ここから先、久美子は特別を目指しながらも高坂さんのフォロワーであるという矛盾に陥ります。「他の誰でもない」のであれば、当然久美子は高坂さんになったらだめなのです。11話で高坂さんに拍手する久美子はひとりの吹奏楽部員として、毅然とした態度を見せます。その姿は確かに「特別」に見えます。しかし、考えてみれば、そこにも彼女を引っ張る高坂さんの姿がありました。あの拍手はひとりの吹奏楽部員としてだけではなく、高坂さんの「特別なひと」としてのものでもあるという複雑な意味を持つのでしょう。12話で高坂さんが久美子の練習に付き合うのも、彼女が久美子を引っ張りあげるようにも見えます。

 結局のところ、まだ彼女は特別にはなりきれていないのではないでしょうか。どこか「冷めている」と評されていた彼女が特別に憧れるようになり、誰よりも自分が未熟で特別でないことを自覚したのではないでしょうか。12話になってようやく、「悔しくて、死にそう」と「かつての高坂さんと同じ」ところにたどりつくのです。彼女はまだ特別ではない。だからこそ、主役としての彼女のきらめきはほんの一瞬だったのではないでしょうか。本当の特別ではないからこそ、きちんとした段階を踏んでひとりのユーフォニアム奏者として自立させてしまうわけにはいかなかったのではないでしょうか。

6.まとめ

 きっとこの作品は私が思っている以上に誠実な作品なのでしょう。主人公だからという理由だけで、安易に「特別」にはしません。誰かの「特別」にはなれても、「本物の特別」になることの困難を丁寧に描いているのかもしれません。

 それは、見ている私たちにとっても痛いくらいリアリティのあることのはずです。それを徹底的に追究したのがこの「響け!ユーフォニアム」という作品かもしれません。

7.おまけ

 別所で何度か述べているのですが、私は9話で久美子が夏紀の練習を覗くシーンが大好きです。この作品を通じていちばん好きなシーンですし、だからこそ私がいちばん好きなのもこの9話です。久美子は、「あすか先輩の音」に誘われるように覗きに行きます。すでに非日常的というようなどこか非現実的な雰囲気が漂います。そして見つけたのは夏紀先輩です。真剣な夏紀先輩の表情とそこに釘付けになる久美子が、それぞれ強調される光の中めまぐるしくアングルを変えながら映し出されます。非日常的で、それでいて叙情的な場面です。特に、あおりで立ちすくむ久美子の姿からは、物語がここから動き出しそうな緊張感があります(事実、前述のようにここのシーンをきっかけに久美子は大きく変化します)。大人気の8話のあと、こんなに締まったシーンを入れてくるのはもうさすがとしか言えません。場面の美しさだけではなく、オーディションの光と影、吹奏楽部を描くうえでもこのシーンは非常に重要なシーンです。


※蠅さん(@flere210brs)の「ユーフォニアムは傍観者だった奴が舞台に立つ物語」という考えへの共感と、しんめいかいさん(@shinmk)の「観測者的主人公だった黄前久美子が当事者=主役になる瞬間」へのささやかな反発から以前は感想を書きました。ただ、しんめいかいさんの「観測者的」を「吹奏楽部の観測者」とおそらく誤解してしまっていました。しんめいかいさん、申し訳ありません。
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