ひとりぼっちの地球侵略(感想)
2015 / 02 / 20 ( Fri ) 10:54:53
小川麻衣子『ひとりぼっちの地球侵略』(ゲッサン/小学館)

相当久しぶりの更新です。私事でなかなかゆっくり漫画が読めないのです。

さて、『ひとりぼっちの地球侵略』はゲッサン連載で、主人公の少年と地球を侵略しに来た少女とボーイ・ミーツ・ガールです。現在7巻まで単行本が刊行されています(2015年2月現在)。

ある日突然、主人公は仮面をつけた少女に「お前の命を、もらいにきた」と襲われ、心臓を狙われます。この心臓は、かつてこの少女が瀕死の彼に分け与えたものだったのですが、主人公と同化していて取り返すことはできませんでした。
もちろん主人公はそんな事は知らなかったのですが、「宇宙人の強い力を秘めた心臓が同化したことで彼はもう人間ではなく宇宙人の側になった、だから一緒に地球を侵略しよう」と少女から持ちかけられます。
主人公はそれを断りますが、その日彼の家に地球外生命体が乗り込んできて、男手ひとつで主人公とその兄弟を育ててきた祖父を襲います。成す術のない主人公の前に、少女が現われて一緒に地球を征服するなら祖父を救うと声を掛けられます。
主人公はそれを飲み、かくして二人は地球を征服するという目的を果たすため動き始めす。

地球を侵略・征服すると言っても、基本的には少女とは異なる星から来た地球外生命体の地球侵略を食い止める話であり、またそれを通じて二人が絆を深め成長していく物語です。後者の方に重点が置かれているために、戦闘は1巻に1回くらいとそんなにありません。
サンデー系列らしく、落ち着いた筆致で丁寧に二人の姿を描写していくところが魅力的で、序盤からいきなりクライマックスかというほどの盛り上がりを見せます。百聞は一見にしかずとは言ったものですが、一巻いや一話でも読んでみて欲しい作品です。

さて、作品紹介はざっとここまでにして、最新刊までの雑感といきたいと思います。
ひとまず7巻まで通して思ったことは、ようやく一段落したってところでしょうか。大鳥先輩と岬一の関係中心で回っていた物語に、一巻と同じ「ひとりぼっち」を繰り返して二人の関係を深化しつつ、岬一、大鳥先輩、アイラというつながりもはっきりしたものになってきました。
この7巻で特筆すべきなのは、岬一、大鳥先輩、アイラの三人が仲間として結びついてきたことでしょう。7巻でアイラは岬一や先輩と過去の記憶の共有を望みますが、観測者の末裔の本能かもですが、アイラは「知る」ことを求める描写がそう見られないこともあり、やはり仲間としてという風には感じます。
そして、大鳥先輩が学校に復活するシーンを迎えるのも岬一とアイラの二人なんですよね。もう三人一緒って感じがすごいです(それでも、やはり岬一と先輩のつながりはまた別としてあることも、二人の思い出だけを除いて共有するところから見られますが)。
そもそも、アイラの祖母の話を聞いているシーンとかもそうですけど、ここ最近の三人の描かれ方って、一緒に地球を守る仲間のそれですよね。三人はそういう約束を交わしたりはしていないですが、そういうことになっていますよね。祖母も三人(と一匹)に地球を守る願いを託しています。
そういうわけで、7巻は二人から三人へと仲間ができる、いわば第二章的な位置づけになるのでしょうね。そして、後半からは凪へとスポットが当たることで第三章へと入って行くという。そういう意味で物語が一段落し次へと進んでいく非常に大きな巻でした(リコは扱いが難しいからって省いてます)。
7巻をもって『ひとりぼっちの地球侵略』は岬一と先輩のボーイ・ミーツ・ガールではなく、地球を守る仲間たちへと変わってきた側面もありますが、今後どうなるかが気になるところです。
もう一つは主人公の人物描写。大鳥先輩を中心に物語が巡っているように感じるせいか、通して読むと主人公のキャラが分かんなくなってしまうんですよね。一巻で「周囲と自分のスピードが違いすぎて焦ることがある」「俺はもっと集中していたいのにうまくいかない」というモノローグがあるのですが、改めてこの文章を読みかえすと、一巻のこの辺りは数少ない岬一中心で回っていると感じられるところなんですよね。逆に言うと、岬一中心で描写されるシーンが少なくて、ここが妙に浮いてくるわけです。物語の常としても主人公は全くの普通ではないわけですが、彼の自覚としても現れてきてます。
結局ここに現れた彼はなんだったのでしょうか。一巻自体が岬一が大鳥先輩を理解するための物語として岬一中心に回されているのでしょうしだからそういう彼が描かれたのでしょうが、その後の彼はあまりにものんびりとまとまりのない生活を楽しんでいるように見えるのが不思議なんですよね。
もちろん、彼はどう考えても周囲と適応的に生きていける人物なのですが、それにしてもなじみ過ぎじゃないのみたいな印象が強いです。確かに彼は先輩に必死についていこうとする姿は見えますが、これは別に没頭するとか集中するとはまた別の事のような気もするのです。
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