赤髪の白雪姫(感想) その5
2015 / 09 / 22 ( Tue ) 18:40:10
あきづき空太『赤髪の白雪姫』(アニメ)(ボンズ/原作:漫画)

赤髪の白雪姫 第5話 感想 ――ゼンの目指す道――

1.はじめに

 なにやらご無沙汰しています。およそ1月程度でしょうか。そろそろ5話について感想書きたいなと思っていたのですが、結構苦戦しているうちにあれやこれやと。最終回も近いこのあたりで、とにかく最後まで感想をまとめておきたいと思ったので復活しました。いつも無駄に長いという悪癖除去のためにも、今回は短く短くやっていこうかなと。
 で、5話の何が難しいかと言いますと、ゼンのキャラクター像なんですよね。物語の中でゼンがとるべき道とそれに対して過去から未来に渡ってのゼンの行動とそれを結び付けてみるのがすごく難しかったのです。今回は、5話に即して簡単にまとまらないまま書きつけていきます。

2.ゼンの目指す道

 ゼンは言うまでもなくクラリネス第二王子です。それと同時に白雪の友人です。白雪とゼンの恋愛ものというのはすぐに了解できることだと思いますが、そこで問題となる身分差を乗り越えて結ばれるというところまでは誰でも容易に想像がつくことでしょう。
 では、それをどう乗り越えていくのか。ゼンが王族という身分を降りて駆け落ちするという手もありますが、主人公の白雪が「いつか私、自分で門をくぐれるようになって、ゼンの味方になりにくる」(第3話)と決意している以上、この道はあり得ません。道は、白雪がゼンに並べるようになることだけです。そしてゼンはそれを受け入れている以上、王子であることから逃げることは出来ないのです。だからこそ、王子であるゼンと白雪の友人(そして恋人)とをどう統合させていくかというのがこの作品の課題となるわけです。

3.ゼンの原動力

 モノローグとエピローグがゼンになっているように、今回はゼン回と言ってもいいでしょう。当然、王子としてのゼンあるいは白雪の友人としてのゼンが描かれることになります。では、5話はどのような位置づけだったのでしょうか。
 基本的な構図はもちろん、私人としての葛藤を抑え込み王族としての立場を選択するとなっています。ただ、これまで書いてきたようにアニメ版のゼンは、漫画版以上にいくぶんか頼りなく王子としての自覚が不足しているように描かれています。今回もその路線は継承されているのです。王子らしさが原作よりもかなり消えてしまっています。
 その最たるシーンが、白雪に(王子として)城の外に出なさいと窘められるシーンです。原作では、ゼンが白雪に「俺も残る」と言った脳裏に浮かぶのは砦の人間です。ゼンは砦の人間を思うあまり、砦の外に出るのを拒絶するのです。それがアニメでは、「白雪の身を案じる」というミツヒデの言葉に回収されてしまうのです。
 その直前の白雪の治療シーンでも、最初は考え込んでいる風であったのが、白雪の言葉に疑問を持ってようやく白雪とシュカの方を向きます。ここにも、砦の兵士よりも白雪への関心を感じるようになっています。そして、病の原因が分かってからも「この件は俺たちで解決したい。白雪にばかり頼っているわけにはいかないからな」となるのです。なにより、原作と共通の「今回俺は、お前が原動力だったんだ」という言葉に集約されるように、白雪が頑張っているからこそ頑張りたいという思いが伝わってきます(また、白雪が回復した兵士を喜ぶゼンに対して「ゼン王子」と呼びかけるシーンさえ削られています)。

4.まとめ

「外で得るものは多くある。見聞きするこの国のこと。その中での出会い。それを経て、知る感情」
「外で得たものは多くある。見聞きしてきたこの国のこと。幸運に思っている出会い。そして、それを経て知っていく感情。そのいくつもが、消えることのない灯をくれるんだ」

 それぞれ、5話の最初と最後のモノローグです。これを見る限り、要するに5話は外で学んでそれが自分の力になりましたという話ですよね。5話のゼンは、白雪の友人、私人ではなく王子として振る舞いつつも、その原動力として白雪への思いがあるという形になっています。外形的には王子でありながらも、実質的にはむしろ私人にウェイトが置かれているのです。それ故に、ゼンが外で学んだものも白雪を通してというものとしての割合が相当大きく感じられます。
 ただ、何よりも重要なのがなぜゼンは外で学ぶのか。学んだことがゼンにとってどのような意味になるのかということです。結論から言うと、アニメ版だとよく分からないんですよね。これまでのゼンは自分自身が興味があるから外を見たいというスタンスであり、王子として外を学びたいというスタンスではないのです(あるいは弱い)。あくまでもこれまでゼンは1話からの流れを引き継いでいるのであれば、ここも私人として見るのが穏当なのかもしれないと思います。漫画版だと最初のモノローグに該当するところで、「クラリネス王国第二王子として/多くはこの城で学んだ」から始まる部分があるのですが、個々にも見られる原作にあった王子として学ぶという自覚が削られていますし。
 結局のところ、まだまだゼンは1話からの流れにあり、そこからどう脱却するかが課題になっているように思います。

5.おまけ

 今回はオビが大活躍でしたね。もう嬉しくて嬉しくて。まずOP明けのオビが砦から飛び降りるシーンですが、ここがとても良いんですよね。飛び降りるスピードは速いんですけれども、着地した時にぐっときっちりと止まるんですよね。そこで、落下するにも体の重さが伝わってくる感じがあってすごく迫ってくるんですよ。オビって飄々としているからすごく軽いイメージがあるんですけれども、イメージしていたものよりずっと躍動感がありました。2話で白雪が木から落下したシーンとかもそうなのですが、体の重さが伝わってくる落ち方をすることが多いのですが、5話は格別だなあと。 他にもオビの見どころいっぱいですよね。「やっちゃったよ」なんてもうたまりません。それと雪だるま!これは本当にナイスって感じですよ。
 今回はゼン回って書きましたけど、本音を言うとどちらかというと従者回っぽいなあと。これはこれで必然なのかなとも思うのですが。たとえ王家の血を引いていてもそれだけで王子でいられるわけではなく周囲の承認が必要な以上(たとえば、巳早は没落貴族であり今はただの庶民)、周囲の人間を描く必要がでてくるのでしょう。
 それはともかく、短いながらもゼンと従者のミツヒデ、木々、オビとの関係が様々に描かれていて面白いですね。まず、「ミツヒデさん。あんた仮にも王子の側近でしょうが」「ああ、ゼンのな」というやりとりからも分かるように(このシーンを追加したのはほんとファインプレーだったと思います)、ゼンとミツヒデと木々の関係は王子と側近ではありますが柔軟性を持っています。この話でもミツヒデは「ゼン」としての彼を認めつつ、必要なところでは王子としての立場を忘れないようにと釘を刺す。そして、ゼンは周囲が認めてくれるから自分が王子になれるのだと自覚し、自分を支えてくれるミツヒデや木々に感謝をしているのです。
 これと対照的なのがオビで、彼らのそういったあり方を尊重しつつも驚きをもって迎えているわけです。彼はまだ、王子としてのゼンを支えるに至っているわけでもなにもなく、まさに新参者として学んでいるわけです。彼らの様子を観察したり、関係性を尋ねたりするシーンがしばしば登場します。そのくせ、Aパートで今後の対応を話し合っている際に、木々から三人揃っているのが様になっているというのは面白いですね。ここで「白雪を呼んだら」という言葉にカットを変えずに三人の反応を映しているところにも、白雪を介しての三人の一体感が伝わってきます。
 2巻を1巻にした分かなりきつきつで、正直ここは落として欲しくなかったというところもばんばんカットされていたりするのですが(たとえば、白雪がゼンに砦の外にでるように説得する時、身分証をぎゅっと握りしめているのですが、ようやく自分の力でゼンの味方になれるところに来たという喜びなどが見えてくるんですよね)、これまでと一貫して再構成していているのはすごく面白いですね。印象も随分と変わっていますし。木々の二人への信頼も、あえて二人の方を見ていないシーンを掻くことで、見なくとも十分にわかるというような思いも感じられたり、そういうアニメはアニメの魅力があるなとやっぱり感じるのです。
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