巻数単位で選ぶ、2015年漫画10選
2015 / 12 / 25 ( Fri ) 17:02:36
巻数単位で選ぶ、2015年漫画10選

1.はじめに

「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」という企画がTL上で賑わっていまして、アニメもですが漫画でもすごく良い作品が多かったですし、今年はいろいろ記憶に残る年でしたので、そういった記録を残す意味でもやってみました。まだ積んだままの作品も随分と残っていますし、正直悩んでいる作品もいっぱいあるので、気分とかで少し変わってしまうかもしれませんが、ひとまずというところで。話数にせずに巻数にしたのは、話数だと雑誌ならともかくWeb掲載などはややこしい場合もあったりしたためです。なお、順番に意味はありません。

2.巻数単位で選ぶ、2015年漫画10選

冬目景先生『イエスタデイをうたって』第11巻

 これを挙げないわけにはいかないでしょう。10年以上この作品を追い掛けてきた私にとっては、この最終巻が出たことが何よりも嬉しかったのです。落としどころとしては予想通りだったのですが、どう落とすのかなあと言うのは全く読めず。ホームでのあのシーンは、長い年月をあんな一瞬に込めてしまうだなんてずるいなあとか。表紙に榀子が出てきたのもポイント高いですよね。何気にこれも良かったっていうのが、湊の再登場だったのですが、彼が出てきたことに加えて時間の流れをさりげに感じさせてくれるというこの構成がとにかく好きです。人は変わるし変わらないし、この最終巻がすっと入ってきた理由の一つでもあるんですよね。

あきづき空太先生『赤髪の白雪姫』第13巻

 オビ好きにはたまらない巻です。原作を読んでいる方はいつここに来るのだろうとずっと思っていらっしゃったでしょうが、ついにここに来てしまったかという感じです。オビって、人が人に惹かれあうという『赤髪の白雪姫』の魅力をよく体現しているキャラの一人で、ゼンにも白雪にも強く惹かれていることがよく出ていて、そこのひとつの集大成みたいなのがこの巻だと思うんですよ。オビってここまで誠実で素敵なキャラクターだったんだという魅力がガンガン掘り下げられているんです。ゼン王子を前にしたときのオビって本当にいい表情を見せますよね。白雪が相手だと結構かっこつけが実は標準装備なんじゃないのかなとか思ってしまうんですけど。

高田康太郎先生『ハレルヤオーバードライブ』第14巻

 リリーパスカルのライブでの小雨たちのライブはまさにこの作品の集大成だと思います。いろんなものがとにかく詰め込まれていて、私は感動しすぎて何度も雑誌を繰り返し読んでいました。「キラキラの音」「音楽の魔法」「祝福」こういった作品のキーワードを繋いでいくのがこの作品の良さの一つなんですけれども、それが圧倒的に上手くいったのがこれなんですよ。泣きそうになったくらいです。「この先に続く未来にキラキラした音と…祝福のあらんことを!!」という小雨の言葉は、まさに辿りつくべくしてついたところなのだと思います。

ninikumi先生『シュガーウォール』第4巻

 第3巻と合わせてひとつの章となっているのですが、どっちを挙げるかは非常に悩みました。巻数の少ないものだと、今年はこれが一番好きでした。これ目当てで雑誌も買ったのですが、雑誌とは結構印象が違う感じです。雑誌では一話一話破壊力がすさまじくて、八坂さんが私の想像力をはるかに超えていくところに何度も何度も頭を鈍器で殴られるような思いをしました。とんでもなく衝動的なんですよ。リアクションなんかも読んでてうわああってなるような。一方、単行本で読み返すと一話一話が綺麗につながっていって、八坂さんや武内の迷いや手探りな感じがじっくりと感じられます。3巻ではなく4巻を選んだのは、八坂さんが衝動的に動きつつも、自分の「好き」に必死にも動こうとするようなバランスが好きだからです。この作品は本当に大好きなんですけど、先入観なしに読んで欲しくてあんまり書きたくない難しさがあるのでこのくらいで。

たなかのか先生『すみっこの空さん』第8巻

 第7巻と悩まないこともあったのですが、いちばん好きな夕ちゃんの決着がなにはともあれ着いたのが良かったです。決着というよりは、辿りついたところの確認みたいなところはありますが。色んな人に背中を押されたりはしましたが、きちんと自分で模索し積み上げてきたものによっても答えを見つけられたのは嬉しいです。そして、その結果がはっきりとついてきたこともまた。劇的なところはないですが、神さまも着実な歩みがあったのだと感じさせてくれます。

天乃忍先生『ラストゲーム』第7巻

 毎回毎回読み手を悶えさせてくれる素敵な漫画ですが、なんといってもこの第7巻を読んだ時の衝撃は忘れられません。九条が本気で自分の気持ちを見せた第35話はもう泣きそうな気持ちになりました。九条の切実さが本当に強く感じられて、でもってすごくらしくて、これまで本当に丁寧に積み重ねてきたものがあってこそのものでもありますね。本気で柳の事が好きで、でもそれだけじゃなくて大切なものがいっぱいあって、だからこそなおのこと悩んでしまうというところも、九条のことをいっそう好きになってしまいます。そして、このエピソードの中で藤本がどれほど嬉しい気持ちになったのだろうかといった、九条を取り巻く人々の気持ちのことも思いやられると、幸せな気持ちになります。直前の柳と美和さんの会話や揺れる九条の様子もすごく重要で、これがあるおかげで九条が本当に今の環境を大切にしたいと思っていたこととかが伝わってきます。

オニグンソウ先生『もののがたり』第2巻

 正直、第1巻の時点では良い印象の作品ではなかったのですが、第2巻で完全に化けましたね。長月と同居している付喪神が何に由来しているのかというところで、うまくキャラクター同士の「縁」というのを持ち込んできたところに、私としてはすごく感動したのです。付喪神が長月を見守るそういう気持ちだとか、いわゆる疑似家族ものみたいなところがあるんですけど、とてもあたたかくすっと入ってくる感じとかが大好きでした。

五十嵐藍先生『ワールドゲイズ クリップス』第4巻

 五十嵐先生と倉橋先生目当てで『アオハル』買ったんですけどねと言いたくはなったのですが、「アスファルトワールド」は最初「泡沫、晴天、アスファルトワールド」というタイトルだったんだというのを知れたので『アオハル』を買って良かった感はあります。それはさておき、「ピアノ」のようなとりとめのないような、つながらないような、遊びのある言葉づかいって大好きなんですよ。第3巻の「tonight」とはまた違って、積み上げていくチョークだとか、繰り返していく淡々とした感じがあってそこにも魅力を感じます。刹那的ではない良さなのです。あるいは「tonight」のような研ぎ澄まされた感じとは違って、もっと五感にじっくりと働きかけてくる感じとか。1話全体を通してみるならば「ピアノ」がこの作品の中でも間違いなく好きです。

芦奈野ひとし先生『コトノバドライブ』第2巻

 『カブのイサキ』といい、風景の見せ方にはとんでもなく惹きこまれます。空間の奥行だったり、時間の積み重ねだったり、色彩、光、音……風景って色んなものが詰まっているんだと改めて感じさせてくれます。『カブのイサキ』は特殊な世界観も上手く使って惹きこんでくれたのですが、『コトノバドライブ』はただの景色でもそれをやってくれているんですよね。そして時折、非現実的な情景を挟んだりして、読んでいるとずっとその世界の中を漂っているような不思議な浮遊感のようなものに包まれます。目や頭や心で味わうというよりも、体で感じるようなそういう幸せがそこにあるのです。いちばん好きなのが第14話の「夜の音のこと」で、自分自身の経験ともどこか通じるようなこともあって特に身近に感じられたのです。

きゆづきさとこ先生『棺担ぎのクロ。~懐中旅話~』第5巻

 相変わらずすさまじい作品ですよね。いきなりヒフミに関するエピソードをぶっこんで来たり、読者を殺す気満々なのはよく伝わってきました。お恥ずかしながら初見では分からなかったことも多いのですが、いくつかほのめかされた作品の根幹に関わる設定のえげつなさには、何度も何度も悶えてしまいます。そういう設定的なところの面白さもかなり出ていた巻ではあるのですが、世界観や表現にもやっぱり惹きこまれてしまうんですよね。クロがあっさりと気球から身を乗り出してしまったり、魅力的な語りと不思議な肖像画だったり、コーヒーとミルクを混ぜる描写、なんてことないところにもひとつひとつ愛おしい気持ちになってしまうのです。

3.おわりに

 最終回やクライマックスを迎えた漫画が多くなりましたが、『戦国妖狐』『スピリットサークル』『雪にツバサ』『マホロミ』なども当然候補に入ってたのですが泣く泣く切りました。間違いなく気分次第で入ってましたね。一方で、比較的新しい作品にも良いのが多くて、『アフターアワーズ』『イチゴーイチハチ!』『ホクサイと飯さえあれば』『天使とアクト』とかいっぱいあってこれも泣く泣く。
 全体を通してみてみると、雰囲気で選んでいる感じが強いですね。あと、わりと初読時の感動みたいなものを大事に選びました。雑誌で読むのと単行本で読むのとではまた印象が違うのですが、どちらかというと雑誌を意識して選んだ感もあるので、難しかったり。
 なにはともあれ、自分の好きを振り返ったりできてとてもよかったです。もうちょっと時間が欲しかったというのが本音ではありますが。
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